Q.当社が雇用しているパートタイマーの労働日数について、雇用契約における1週間の所定労働日数と実際の労働日数とが異なるケースがあります。この場合、有給休暇の付与はどのようになるのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
A. パートタイマーの年次有給休暇については「比例付与」という考え方があります。
これはパートタイマー各々の週所定労働日数や年間所定労働日数、勤続年数に応じて年次有給休暇を付与するものです。
※「週の所定労働時間が30時間以上」または「週の所定労働日数が5日以上」のときは、通常の労働者(=正社員)と同じ年次有給休暇を付与しなければなりません。
例えば勤続年数が6か月で、週所定労働日数が4日の方の年次有給休暇は7日となり、週所定労働日数が1日の場合の年次有給休暇は1日となります。
この「週所定労働日数」とは、労働条件通知書(雇用契約書)において定められた労働日(曜日)が基準となります。
つまり、年次有給休暇の付与日数は契約ベースで決まるということです。
ところが、実務上では契約上の週所定労働日数が4日だったにもかかわらず、実際の労働日数が週2日とか週0日となることもあれば、週2日契約だったところ、実際に働きだした見ると結果的に週3日だったということがよくあります。
このような場合、年次有給休暇の付与日数はどうやって決めればよいのでしょうか。
原則は「契約ベース」であることに変わりはありません。
もし契約上の週所定労働日数が4日であるところ、実際の労働日数が週2日だった場合は全労働日に占める出勤日数の割合(出勤率)が8割未満となるため、年次有給休暇の付与日数は0日となります。
契約上の週所定労働日数が2日であるところ、実際の労働日数が週3日となった場合は出勤率の問題は生じません。
付与日数は契約ベースである週所定労働日数2日で判断するので、勤続年数が6か月の場合は3日となります。
上記の場合において、もし実際の労働日数が週3日という状況が恒常的になるのであれば、実態にそぐわないため、速やかに契約の見直しを行うべきでしょう。
パートタイマーの契約には、労働日を「毎週月・水・金曜日」のように特定せず、その都度シフトにより決定するようなものもあります。
この場合は、「入社後6か月間における実際の労働日数を2倍」したものを、比例付与の「年間所定労働日数」に照らし合わせて決定することになります。
例えば6か月間の労働日数が50日の場合、年間で換算すると100日となるので、年次有給休暇の付与日数は週所定労働日数が2日のパートタイマーと同様、3日となります。