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求人募集において記載が認められない内容にはどのようなものがあるか

目次

Q.事務所の業績拡大に伴い、人材採用を積極的に行いたいと考えています。ホームページの採用情報欄に募集要項を掲載したいと思いますが、掲載してはならない事項等、留意すべき点を教えて下さい。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士  定政 晃弘

A. 人材獲得競争が激しい業種では、各社が工夫を凝らして良い人材・一定数の人材を確保しようと努力しています。

そのため、競争相手を上回る好条件を提示することで優位性を保とうとする企業も多くみられます。その最たるものは「賃金」でしょう。

その他にも「残業はほぼありません」「研修制度が充実しています」「平均勤続年数〇年」「女性管理職の割合〇%」のようにあの手この手を使ってアピールしています。

このように、良い人材の確保はかなり困難という状況もあってか、実際の労働条件を誇張したり、虚偽の内容を募集要項に明示することで応募数を増やそうとする一部事務所があるのも事実です。

故意に虚偽の労働条件を明示することは論外であることは言うまでもありませんが、中には人材募集におけるルールを知らなかったため、後に問題となるケースがあります。

しかし、その場合でも法違反等に問われる可能性はあるので、「知らなかった」では済まされません。

そこで、どのような内容が不適切なものとなるのか確認してみましょう。

最低賃金を下回る場合

例えば東京に本店を置く事務所が本社で働いてもらう社員を募集するため、自社ホームページに「正社員:月給120,000円、パートタイマー:時給1,000円」という条件を掲載した場合(※正社員は週40時間労働、土日祝が休日)、最低賃金法第4条違反(50万円以下の罰金)等に問われます。

東京都の最低賃金は令和3年10月より1,041円だからです。

もちろん、自社ホームページではなくハローワークや有料の求人サイト等に求人の申込をしたいと思っても、受理はされません。

雇用形態が掲載内容と面接時で異なる場合

求人の内容では「正社員募集」となっていたところ、実際の面接時には「うちは入社する時は契約社員だよ」と話をしていたようなのですが、この場合は職業安定法第5条の3違反(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)等となります。

差別的な表現

「総合職:男性のみ」「営業マン募集」「女性歓迎」「採用予定人数:男性3人、女性5人」等は男女雇用機会均等法違反となります。いずれも性別による差別的取扱いに該当するからです。

なお、「業務の正常な遂行上、一方の姓でなければならない職務」として、警備業務の募集を男性のみとすることや芸能分野(女優等)等、一部については法違反とはなりません。

このように求人を募集する際は、記載する内容や表現の仕方に十分注意しながら進めていかなければなりません。

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