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退職証明書の交付を求められた場合

Q.退職した社員から、「退職証明書」の交付を求められました。交付する時期や記載すべき内容、その他留意事項があれば教えて下さい。

【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士  定政 晃弘

A. 労働基準法に「退職時等の証明」という条文があり、そこには次のような内容が規定されています。

「労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあっては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。」(交付しない場合は30万円以下の罰金)

この規定からお分かりいただけるかと思いますが、交付する時期は「遅滞なく」となり、記載すべき事項は次の5つとなります。

1.使用期間
2.業務の種類
3.その事業における地位
4.賃金
5.退職の事由(解雇の場合は、その理由)

ただし、この中で労働者が記載することを希望しない事項がある場合は、その事項を除いて作成し、交付しなければなりません。

ところで、そもそも退職証明書は一体何のために交付するのでしょうか。

交付を希望する労働者が利用するケースとして、国民健康保険や国民年金の加入手続きを行うためだったり、転職先から提出を求められたため等があります。

後者のように転職先から求められたため交付を希望してきたときは、作成の際に留意しなければならない場合もあります。特に退職した理由が自己都合退職ではない、解雇や退職勧奨等による場合です。

解雇や退職勧奨等により退職し、退職証明書にもその内容が記載されると転職活動に影響を及ぼすと考えられるため、このような場合、退職の事由については記載を希望しないことがほとんどだと思われます。

そして本人の希望通り作成し、交付すれば何ら問題はないでしょう。

ところが以前このような人がいました。

退職証明書の交付を依頼してきたのですが、交付方法は、転職先が作成した退職証明書のひな形に「必要事項を記載の上、返送してほしい」というものでした。転職先のひな形であっても退職証明書に記載しなければならない事項は変わりありませんし、そのひな形も上記1~5が記載されたものでした。

しかし、「退職の事由」については複数の選択肢から該当するものに〇印をつける形式となっており、本人の記載希望の有無とは関係なく、いずれかの退職事由を選択せざるを得ない状況です。

退職証明書を作成し、交付する義務があるのは退職した労働者を雇用していた会社の使用者であって転職先ではありませんから、このような場合はトラブルを避けるためにも転職先のひな形は使用せず、自社が退職事由を除いた退職証明書を作成し、本人に交付するべきです。

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