Q.当事務所は業績拡大に伴い、中途採用を積極的に行う方針です。ただし、現在の人員構成を考えると応募者の年齢を35歳までとすることが理想です。このように、応募者の上限年齢を設けた求人は可能なのでしょうか。
【この記事の著者】 定政社会保険労務士事務所 特定社会保険労務士 定政 晃弘
A. 求人募集の方法には、ハローワークや有料の求人サイトに掲載したり、自社ホームページの採用情報に掲載する方法などいろいろあります。
ただし、どのような方法を取るにしても、年齢については「原則不問」としなければなりません。
これは正社員のみならず、パートタイマーやアルバイト等を募集する場合にも適用されます。
したがって、「上限年齢35歳」という応募資格は認められないのです。
そうすると、応募資格は「年齢不問」としながら、次のような表現を別途併記することが考えられますが問題はないのでしょうか。
(例1)「35歳未満の方歓迎」
(例2)「高卒以上の方」
(例3)「経理業務の経験〇年以上」
例1は、「35歳未満」という上限年齢が設定されており、先ほども述べましたようにこれは認められない表現となります。
そこで「歓迎」という表現を追記したものになった訳ですが、これは「労働者の募集及び採用における年齢制限禁止の義務化に係るQ&A」(以下、「Q&A」 厚生労働省)によると、「実質的に年齢制限を行っていることと考えられることから、法の趣旨に照らして適当でないものと考えます」とされています(例外事由はありますが)。
例2は〇〇歳という具体的年齢が記載されておらず、学歴を条件とした表現となっています。
このような表現は年齢制限には該当しないため認められます。それなら一般的に高校卒業時の年齢は18歳なので、「高卒」の代わりに「18歳以上の方」としても同じではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
ところがこの場合は認められないのです。
例3は例2と同様、具体的年齢が記載されていません。経理という職種の経験年数が条件とされているだけです。
このように「年齢不問」+「業界経験年数〇年以上」あるいは「業界未経験歓迎」とする表現は問題がなく、認められています。
実際に様々な求人媒体で見かける表現です。
ただし、例3については「〇年」というところに注意が必要となります。
Q&Aによれば、「経験年数については、合理的な理由がなく、かつ、非常に長い期間が設定されている場合などは事実上の年齢制限をすることが意図されていると解されるため、法の趣旨に照らし適当ではありません」とされています。
以上から、具体的な年齢を記載することは、例外事由に該当しない限りできないということになります。